いのちの教育

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学校の経営

1 はじめに

平成20年3月に文部科学省より告示された学習指導要領は、中学校において平成24年度より完全実施となりました。

このような学校教育の大きな変動期に、本校は完全実施の24年度より米沢市教育委員会指定の委嘱研究を受け、これを学校経営・活動の大きな柱の一つと位置付け全職員の総意で新たな研究主題「かしこい人を育てる指導法の研究」を設定し、鋭意研究を進めてきました。

研究主題の設定にあたっては、現行学習指導要領の理念、さらには本校生徒の実態と現状に照らし「言語活動の充実」にさらなる焦点を当て、教育の不易、そして究極の目標である「かしこい人」の育成に向け、研究を深め、推進しようとの大きなねらいがあります。

これら研究の成果として、昨年10月に公開研究発表会を開催し米沢市内外より200名を超える多数の先生方のご来校を得て、本校生徒の真剣、かつ伸びやかな学習活動の様子に「かしこい二中生徒」の姿を実感いただき、多くの称賛と励ましの言葉を賜りましたことは本校職員一同、大きな喜び、そして誇りとするところです。

本年度はこの公開研究発表会の成果と課題をしっかりと踏まえ、さらなる「かしこい人」の育成に向け、研鑽努力を続けたいと考えます。

また、古くから「教育は人なり」といわれるように、教職員の資質向上はいつの時代でも教育の重要なテーマであると考えますが「明るく元気で地域に信頼される学校」は「優れた教職員の協働協力関係によって築かれるものである」という理念を激動の時代の今だからこそ強く持たねばと改めて感じます。

元米沢市教育長、小口亘先生の教育信条、「初心無き者、忘るること能わず」を胸に刻み、自らの教育にかけた初心を大切にし、本年度も二中全職員の英知と汗を結集し、互いに切磋琢磨しながら子供達に生涯の基礎となる種々の力を培いたいと考えます。

2 学校教育目標とめざす生徒像

改訂された教育基本法の第二条、教育の目標の第一項に次の文言があります。

「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。」

まさにこれらは教育の不易である知・徳・体の完成を指すものであり、現在の本校の学校教育目標「広い視野に立ち、主体的に行動する生徒」、具体的には「考える人」「思いやりのある人」「やり遂げる人」の3項目は見事にこれと合致しています。さらに昨年11月に実施した教育会役員保護者アンケートにおいても現在の学校教育目標は極めて高い評価と支持を得ており、めざす生徒像と併せて本年度も継続していきたいと考えます。

 ◎学校教育目標

広い視野に立ち、主体的に行動する生徒

 ◎めざす生徒像

@ 考える人(知)

A 思いやりのある人(徳)

B やり遂げる人(体)

これらに加えて、本年度も引き続き、中学校とは次の「4つの場」であるという私自身の教育への基本的な理念(思い)をあらゆる場面で生徒に伝え、その意識化・実践化を尚一層強く図っていきたいと考えます。

@ 学校は立派な人間を育てるための修練の場である。

A 学校は理想の社会を実現する場である。

B 学校は一人の不幸に成り立つ全体の幸福は許されない場である。

C 小学校は善悪、中学校はそれらを土台としてよりよい価値を追求していく場である。

3 学校経営の基本方針

本校は学校教育目標と並んで「友愛のもと自立と英知の旗を掲げよう」の教育スローガンを長年にわたり継続して掲げています。

「友愛・自立・英知」の三つの言葉に二中生としての強い誇りと自信を持ち、心優しく、自主自立の精神に富んだ、実に向学心に溢れる子供達です。

また、全国的にも稀な「生徒会憲法」を平成20年度より制定・実施し、現状に合わせて改定するなど、自主的で活発な生徒会活動が進められており、他校に誇れる取り組みの一つと考えます。

本年度は、上述の子どもたちの姿、昨年度の成果と課題、学習指導要領の理念、さらには学校教育目標等を踏まえて、次のことがらを学校経営の基本方針としていきます。

@ 教職員相互の信頼と協働協力関係に支えられた学校経営を推進する。

A 学年・学級経営を基盤とした明るく元気で地域に信頼される学校づくりを推進する。

B 考える人、思いやりのある人、やり遂げる人を培う生徒主体の教育活動を推進する。

C 教育課程全体の取り組みを通して、いのちの教育を推進・展開する。

D 米沢市教育委員会委嘱公開研究発表会の成果と課題を踏まえ、さらに焦点化した校内研究を推進し「置賜教育事務所学校経営計画指導」等の取り組みを通して、その実践的成果を生徒の姿で共有・発信する。

E 各種教育施設・諸団体等とのかかわり・交流をさらに展開しまなびを深め、地域に生きる中学生としての自覚と他と共生していく意識を高める。

4 指導の重点、具体的施策

@ 学校教育目標と学校経営の基本方針を各分掌部の中で検討具体化し、各係で評価可能な計画を作成し、その実現に努める。

A 学年・学級経営案を作成し、計画・実践・評価・改善を繰り返し、活動の充実を図るとともに、各種たよりを発行し情報を発信して保護者・地域の理解を深める。

B 基礎的基本的な知識技能の確実な習得と思考力、判断力、表現力等の育成、かつ個性を伸ばす授業づくり、併せて「習得・活用・探究」をサイクルとしたまなびを推進する。

C スクールカウンセラー、別室学習指導員、ガイダンス教室等関係機関との連携を一層深め、日々の教育相談活動の充実と推進を図り、心身共に健やかな生徒を育んでいく。

D 自主・自治的な生徒会活動を日常活動と各種行事の両面から取り組み、生徒の成就感と自己肯定感、さらには二中生としての一体感と連帯感を高める。

E 第五次山形県教育振興計画後期プランに基づく本校「いのちの教育」推進基本構想図に則り教育課程全体を見通す中で、関連性と意義付けを持たせて総合的に実践していく。

F 研究推進委員会を核とした校内研究組織・体制を整え、研究の方向性と各教科・道徳・学活・総合的な学習・生徒会活動等でめざすべき生徒の姿をさらに明確にして具体的な研究実践を進めていく。

G 二中校区の特徴を生かした米沢養護学校との連携と交流教育の推進、上杉博物館との連携授業等、さらに、ボランティア活動や社会参加活動を進める中で、自己有用感と豊かな社会性の育成を図る。